ふう、前回の投稿からずいぶん空いてしまいました。仕事の繁忙期もあってゆっくりブログを書く時間もありませんでした。
そうこうしている間に、世間ではグラミー賞の発表などもありましたね。
それにしても今年のグラミーは常連アーティストのノミネートが多くて、はたから見ていても盛り上がっていない雰囲気でしたね。
ここ数年のグラミーは、ノミネート不正疑惑やウィークエンドらの運営批判など、ネガティブな話題ばっかりだったという感じですが、ここまで話題にならないとむしろ「ネガティブな話題でも話題になるだけマシ」とさえ思えてきます。
いろんなジャンルある中で、ジャズの世界でグラミー賞の立ち位置はというと、作品の良し悪しを決めるというよりは大きなプロモーションイベント、お祭りと割り切っている感じはします。
ミュージシャン間の交流も(他ジャンルより)盛んで、参加者みんな知り合いも多いから和気あいあいと楽しんでいますね。
受賞された人もできなかった人もみんないっしょに盛り上がっているって感じ。
そんな中、サマラ・ジョイの受賞はジャズ界にとってはサプライズでした。
ベスト・ジャズ・ボーカル賞だけでなく、オールジャンルのベスト・ニュー・アーティストに選ばれていました。
ただ、彼女の受賞はサプライズではありますけど、少し前ではノラ・ジョーンズ、最近ではやジョン・バティステやジェイコブ・コリアーなど、グラミー賞は相対的にジャズは高く評価される傾向があるようには感じます。
(「世間とズレてる」と言われるグラミーに評価されるというのも、それはそれでどうかとは思いますが)
あとグラミー賞は、アメフトのスーパーボウルの前週に行われることが多いのですよね。
今年のスーパーボウルは、フィラデルフィア・イーグルスとカンサスシティ・チーフスという2チームによる対戦となりました。(結果はカンサスシティの勝利)
敗れた方のフィラデルフィア・イーグルスですが、フィラデルフィアという町は(コルトレーンなど)数多くのジャズミュージシャンが暮らしていたり、ジャズが盛んだった土地。
そのためかフィラデルフィア出身の現役ジャズミュージシャンも多いのですよね。
スーパーボウル当日はそういったミュージシャンの興奮気味のツイートも多く投稿されていました。
ここまできてやっと本題ですが、今回はそんなフィラデルフィア出身のベーシスト、クリスチャン・マクブライドのグループChristian McBride’s New Jawnによる新作アルバム『Prime』について
Jawnというのはフィラデルフィアのスングらしく、「もの」とか「事」とかいう意味らしくNew Jawnで「新しいこと」という意味のようです。
あふれる地元愛。
■Christian McBride’s New Jawn
Josh Evans: trumpet
Marcus Strickland: tenor sax,bass clarinet
Nasheet Waits: drums
Christian McBride: bass
最近のマクブライドは、Inside Straightというクインテット、Christian McBride Situationという実験的なグループ、18ピースのビッグバンドなどなど、とにかくいろんなプロジェクトに関わっていますね。
さらには最近ではNewport Jazz Festivalの音楽監督に就任したりも。
そんな幅広い活動の中で、ストレートなジャズアルバムを演奏するのがこのNew Jawnなのかも。
編成はピアノレスということで、ベースとドラムスがかなり全面に出ていますね。
ジャズのフィーリングを残しつつも、少しブラックミュージックっぽいグルーヴがかっこ良いですね。
曲はラリー・ヤングの “Obsequious” 、オーネット・コールマンの “The Good Life” 、ソニー・ロリンズの “East Broadway Rundown”がカヴァーで、残りはメンバーのオリジナル。
このカルテット編成ですが、オーネットの曲を取り上げているところから、なんとなくオーネットとドン・チェリーを、また「Dolphy Dust」という曲からはエリック・ドルフィーとブッカー・リトルのコンビを思い起こされますね。
アルバムの意味付けとか価値みたいなのはあまり気にせず、まるで「こういうジャズが一番カッコいいだろ?」と言ってるかのようなアルバム。
SNSでマクブライドの写真を見ると、いつもいっしょに写った人と肩を組んでにっこり微笑んでいるのが印象的なのですが、この彼の屈託のない人柄が良く表れているようなそんな気がします。