例年だと12月になると世の中はすっかりクリスマスなのですが、今年はテレビではワールドカップ関連のニュースが多くて、なんだかそういうムードじゃないですね。
100円ショップなどは気が早くて10月末のハロウィンが終わるとクリスマスグッズが並んでいたりするのですが、音楽の世界でも状況は似ていて、11月のはじめにはその年のクリスマス・アルバムがリリースされたりしています。
日本でもそろそろテレビでワム!や山下達郎さん、マライア・キャリーたちの「定番クリスマスソング」のランキングという風物詩が見れるのかも。
この3人の曲だと個人的にはマライア・キャリーがいちばん好きかな。他の2人の曲はちょっとウェットすぎませんかね?
世の中にクリスマス・アルバムはたくさんありますけど、どうしても似た雰囲気・似たようなレパートリーになってしまいます。
イメージが固定されてしまうのでそのミュージシャンの良さが出ないことも多くて、大好きなグループがイマイチなアルバムを出しちゃうケースが多いのもクリスマス・アルバムなのかな、と(たとえばロス・ロボスとか、、)
そんな中、この時期に自分が良く聴くのはTake 6の『He Is Christmas』が多いかも。
CDで持ってる。
タイトル曲はポップですけど、その他は基本伴奏無しのクワイアで、まるで教会で歌われるような荘厳な雰囲気が良いですね。
Take 6は「We Wish You a Merry Christmas」という、クリスマス定番曲を歌ったアルバムもありますが、こっちは若干選曲が若干ベタな気もします。
クリスマス・アルバムなんて年に数回しか聴かないのだし、お気に入りが1枚あればそれで良いいのだと思いますが、いまではストリーミングでいろいろ聴けますから聴き比べできます。
そういう訳で、今年リリースされて気になったクリスマス・アルバムはこちら
アリシア・キーズ(Alicia Keys) 『Santa Baby』
アリシア・キーズ初のクリスマス・アルバム。
RCAと契約が切れてインディーズからリリースされたとのことで、そのためか配信はApple Musicのみというナゾ仕様。
4曲のオリジナルソングに、7曲のカバーナンバーを収めています。
選曲もかなり意外でバラエティに富んだ内容で、「クリスマス・ソングだったっけ?」と思わせる「マイ・フェイバリット・シングス」や、ジョン・レノン/ヨーコ・オノの「ハッピー・クリスマス」、最後には「アヴェ・マリア」と、これまでのアリシアの活動から考えらると意外なセレクトを行っています。
曲ごとの雰囲気もバラバラで、ほとんどのリスナーが「大好きな曲もあればそうじゃない曲もある」ことになりそう。
これはあれですね、従来の意味のいわゆる「アルバム」ではなく、「カタログ」のようなものなのだと。
つまり 「この中からどれでもあなたの好きな曲を選んでね」ということじゃないかと。新しいし潔いかも。
いかにも(アルバム通しで聴くことを前提としない)ストリーミングという気はしますね。
自分の場合は、1960年に Charles Brownが歌った「Please Come Home for Christmas」のカヴァーがすごくお気に入りでした。
ジェーン・モンハイト『The Merriest』
もう1枚は、ジェーン・モンハイト(Jane Monheit)が今年リリースしたクリスマスアルバム『The Merriest』
彼女は1998年のセロニアス・モンク・コンペティション(現在のハンコック・コンペティション)で2nd Place(準優勝)を獲得したヴォーカリストです。
※ちなみにこの時の1位はテリ・ソーントン。ソーントンは受賞当時すでにベテランだったはずですが、当時は年齢制限が無かったんですかね(現在は参加資格があるのは30歳まで)ベテランになるといろんな人間関係などもあり公平に審査されたのか少し疑問ですが。
ジェーン・モンハイトはみずから曲を書いたり、独自の音楽を作り上げる人ではないのですが、「ジャズヴォーカリストとしての表現力」ということに限ると、彼女に並ぶ人はいないんじゃないかと思います。
耳になじんだ曲を歌う、ただそれだけでリスナーを魅了できるというのは、稀有な才能とトレーニングの賜物だと思います。
クリスマス・ソングのようなドラマチックでゴージャスな曲とアレンジが彼女の良さがいちばんわかるんじゃないかと思いますね。
ちなみに彼女は2005年にも『The Season』というホリデーアルバムをリリースしています。
Samara Joy ft. The McLendon Family『O Holy Night』
サマラ・ジョイは来年度の第65回グラミー賞に、 Best Jazz Vocal AlbumとBest New Artistにノミネートされたことも話題になっていました。
今年、彼女はクリスマス用のシングルをリリースしたのですが、父親であるアントニオ(トニー)・マクレンドンと共演していることが話題です。
サマラ・ジョイの家庭は音楽一家で、祖父も父親もゴスペル歌手で、父親のトニーはアンドレ・クラウチのツアー・メンバーでもあったそうです。
(ナイトクラブなどとも結びつく)ジャズシンガーとなったサマラは、ゴスペル一家の中で音楽的には距離があったそうなのですが、今回はクリスマス・ソングということで晴れて共演となったようです。
アメリカではクリスマスは「一年のうち、いつも離れた家族がそろって過ごす唯一の休暇」だと思うのですが、この曲なそんな楽し気なムードが感じられる良い曲ですね。