先日、Discogのトップページに「The 200 Best Albums of the 2010s」というサイト内のブログ記事が掲載されていました。
まだ2019年も少し残っていますが、「2010年代はどういう時代だったのか」と振り返る時期なんですね。
元号が令和になったときにテレビで平成を振り返る番組が多かったように、音楽でも10年単位で語られることが多いので今年で一区切りという感じなんでしょうね。
Discogsベスト200枚のうちベスト10はこちら
1. DAFT PUNK『RANDOM ACCESS MEMORIES』(2013)
2. DAVID BOWIE『★ (BLACKSTAR)』(2016)
3. KENDRICK LAMAR『GOOD KID, M.A.A.D CITY』(2012)
4. RADIOHEAD 『A MOON SHAPED POOL』(2016)
5. ARCTIC MONKEYS『AM』(2013)
6. TAME IMPALA『CURRENTS』(2015)
7. KENDRICK LAMAR『TO PIMP A BUTTERFLY』(2015)
8. LANA DEL REY『BORN TO DIE』(2012)
9. JACK WHITE『LAZARETTO』(2014)
10. ARCADE FIRE『THE SUBURBS』(2010)
集計方法ははっきり書かれていなかったのですが、「Discogsで買われたアルバム」というランキングのようです。
ブログ記事なので最後にDiscogsライターさんの感想が載っているのですが
「2010年代のスーパースターは、Top15に3枚ランクインさせたKendrick Lamar、2位の『Blackstar』など多数ランクインさせたデビッド・ボウイ、Top30に3枚ランクインさせたTame Impalaたちだろう。どうだい、批評家の意見と音楽リスナーの意見は同じじゃないか」
「2010年代は大きな収穫があった。みんながさんざん言ってきたが”ロックは決して死んでいない”ことが証明された」
「200のリストの、約70%はロックだ。続いてHIP HOPは15%、ポップは10%以下」
「ただジャズは生命維持装置に繋がれてひん死の状態だ」「リストの中でジャズは、、カマシだけだ。とはいえジャズは少なくとも1作品はランクインしている」
「アメリカであれだけ聴かれているカントリーミュージックはランク入りさえしない」
とのこと。
けっこう言いたいこと言ってますねー。Discogsは(音源販売サイトであって)音楽メディアでは無いし、しかもライターさんのブログだからけっこう自由なのかも。
カマシ・ワシントンは(いわゆる)ジャズではないのでカウント外とすると、このリストではジャズもカントリーもまったく、そして話題にも上がらないワールドミュージックもすべてランク外。Discogs的にはジャズもワールドも「全滅」「ゼロ」「ダメダメ」ということなのでしょう。
ただまぁこういう話って昔からで、ジャズやワールド系がこういうリストにランク入りすることは今までも無かったですよね。
ワールドミュージックも、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」みたいなごくまれな例外を除けば、昔からほぼ多くの人に聴かれてはこなかったですし。
逆に、かつてはアメリカでは人気のあったカントリーですが、音楽シーンじたいが下火になっているのは確かなんでしょうね。
かつてはガース・ブルックスやシャナイア・トウェインなど数百万レベルでアルバムを売り上げていたはずなので。
2010年代とは何だったのか?
それにしてもこのDoscogsのリストですが、自分でアルバム買ったりSpotifyなどでちゃんと聴いたアルバムというのがほぼ皆無ですね。はっきり言って知らないアルバムばっかり。
こういうのリストを見てると自分の音楽の趣味が完全に時代から取り残されている気がします。
改めてちょっと調べてみると、pitchforkやAOTYも同じような2010年代ベストのリストを出していましたね。ユーザー採点を元にランキングしたり選ばれるアルバムもけっこう違っていますが、ランク上位はかぶっていますし、ほとんど聴いたことないランキングということは変わらないかな。
2010年代とは(私的感想)
ここからは個人的に思う2010年代のはなし。
わたしが音楽を聴いてきたのは時期的には2010年代になります。それ以前となるとリアルタイムで体験した訳ではなく、ネットや本などの情報で知っているだけ。
試しにこのブログで取り上げたアルバム100枚くらいを、リリース年ごとにカウントしてみました。
そのグラフがこちらです。
新譜の話題も多いので今年(2019年)リリースのアルバムの投稿は多くなっていますね。
あと、1980年以前が少なくなっているのは特に興味がないとか嫌いとかではなくて、単にブログで投稿していないだけですね。
たとえばマイルス・デイビスとかアレサ・フランクリンとか、もういろんなメディアで語りつくされている感もありますし。
こうやって眺めてみると、わたしが個人的にアンテナにひっかかる音楽は、ちょうど2000年くらいがいちばん多いみたい。
実はこれはじぶんの感覚とも一致していて、#私を構成する9枚でも、9枚中の5枚のアルバムが1999年から2003年の間にリリースされています。
ポップ黄金期は過ぎ去った
人によって音楽のフィーリングがあう年代はさまざまで、50年代のモダンジャズが好きという人もいれば、90年代ブリティッシュポップが最高という人もいます。
そういう時代性で考えると、わたしにとっては2000年くらいの音楽が一番しっくりくるのかも。黄金時代(Golden Era)ですね。
あまり「90年代後半~2000年代前半の音楽が好き」という人は聞いたことありませんけど。
逆に2010年代以降の音楽はあまりピンと来ていないみたい。
ミレニアムに何が起こっていたのか
2000年くらいの記憶は全くないのですが、世の中ではいったいどんなことが起こっていたんでしょうね?
音楽に関するなにかエポックメイキングな出来事ってあったのかな?
インターネットの登場?初代ipodの発売?(これは2001年)
ミュージシャンのレベルが2000年くらいにいっきに上がったということはさすがに無いと思いますが、テクノロジーの発展でそれまであまり注目されなかったミュージシャンの音楽が一気にリスナーの耳に届くようになった時期なのかも。
目線を変えて全く違うジャンルの映画について思い返してみても、この時代の映画は印象深いものが多いと思います。
『ビッグ・リボウスキ』1998年
『ファイトクラブ』1999年
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』2000年
こういう素晴らしい名作が公開されたりしてます。(他にもあるけど)
また、2010年代になっても続く人気シリーズもの第1作目が立て続けに公開された時期でもありますね。
『マトリックス』1999年
『スター・ウォーズ EP1』1999年
『X-MEN』2000年
『ハリー・ポッターと賢者の石』2001年
『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』2001年
『スパイダーマン』(2002年)
2000年くらいという時期は、それまでのハリウッド映画のスタンダードからガラッと方向転換して、現在まで続く映画シーンの流れが決定づけられた時期、と言えるかも。
逆に2010年代は、2000年くらいに作られた映画のかたちが惰性で続いているとも言えるかも。
こうやって改めて見直してみると、2000年くらいって音楽も映画もなかなかエキサイティングな時期だったみたい。誰からもそんな話は聞いたことなかったけど。